恋よ、来い。 ～傷心デレラの忘れもの～

私が実家の住所を言うと、年配の飯田さんは「あぁ分かりましたよ。あの辺ですな」と言って、ウンウン頷いた。

次に、どちらかというと「聞き役」の津山さんが、「奥さんは長野にお住まいだそうですが、東京へはよく来られるんですか」と、珍しく質問してきた。

「いいえ。そうしょっちゅうは・・お盆とお正月には必ず帰省しますけど、あとはそれほどでもないかと」
「そうですか。まぁしかし、それで分かりましたよ。長野にいるはずのご主人が、なぜ東京にいらしてたのかが」と陽気に言う飯田さんに、「でも今日は平日ですよ？仕事の方はどうされたんでしょうね」と、津山さんが言った。