恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
その場にどれくらいつっ立っていたのか。私には分からない。
いちいち腕時計を見なかったし、第一、時間の感覚なんて、今の私にはなかった。
ただ岸川さんが「そこにいろ」と言ったから、ここで待っていただけ。
20分でも、たとえそれ以上かかっても、岸川さんは必ずここに来てくれると分かっていたおかげで、ジリジリしながら悶々と待つこともなく、ただその場に立って、岸川さんが来るのを待っていた。

すると、気づけば私の目の前に、岸川さんが立っていた。

・・・岸川さんって、こんなに・・背が高かったっけ。
いや違うか。私が小柄なだけなのか。
って、なんで私はそんなことを考えてるんだろうと思いながら、岸川さんをぼんやりと仰ぎ見た。
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