恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「どこも怪我してないようで良かった」
「・・・電話かけてしまってごめんなさい。迷惑、だったでしょ」

私の涙が岸川さんのシャツを濡らしていく。
握りしめている部分はきっと、しわくちゃになってしまってる。
でも・・・もう少し。
もう少しだけでいい、このまま・・・温もりを感じていたい。
生きている実感がほしい。

「湖都、俺を頼ってくれてありがとな。俺・・嬉しいよ」
「・・・っ。岸川さんっ。うぅ、ううっ・・・」

もし壊れるなら、この人の中でバラバラに壊れたい。
もし崩れるなら、この人の中でボロボロに崩れ落ちたい。

そしてこの人の一部に・・・この人と、一つになることができたら。
私はどれだけ幸せだろう―――。
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