恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
私を助手席に乗せて、シートベルトまで締めてくれた岸川さんが「翔くんは?」と聞いてきた。

「翔は寝てます。家・・お母さんの家で」
「そっか。真緒さんは知ってるのか?湖都が警察に行ってるって」
「知ってます。けど。あ。そうだった。お母さんに電話しないと・・・今かけてもいいですか」
「いいよ。後で俺も真緒さんと話していい?」
「はい。後で」

泣くだけ泣いて幾分スッキリした後、やって来るのは・・・脱力感。
泣くことも意外と体力を消耗すると、今日はつくづく体感してるし。
そのせいか、私は岸川さんにロボットのような棒読み口調で答えながら、スマホ――岸川さんに電話をかけた後も、ずっと手に持っていた――を操作し、母に電話をかけた。
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