恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
岸川さんには知る権利がある。
というより、数時間前―――あれは「今日」起こった出来事だった!―――から一体何が起こったのか、岸川さんにも知っててほしい。
だから私は包み隠さず全てを話した。

なるべく自分の気持ちは表に出さないように、客観的な出来事であるよう、岸川さんには淡々とした口調で話したつもりだ。
それでもあのとき起こったときの感情まで思い出して、時折涙ぐみながら、時にはつっかえながら、どうにか全てを話すことができたとき、私は心身ともに再びぐったりと脱力していた。
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