恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
あぁ、いい気持ち・・・。
温かいお湯が張られた浴槽に身を沈めた私は、条件反射のように、心地良いため息を、口から漏らしていた。

それから少しして、浴室のドアが開くカラカラという音が聞こえた。
と思ったら、岸川さんが入ってきた。

もちろん、裸で。

控えめに言ってもビックリした私は、小さく「きゃっ」と声を上げながら、慌てて岸川さんに背を向けた。
今は私の顔どころか、全身が羞恥で熱くなっている。

岸川さんの裸を見る・・というか、「どうしても視界に入ってしまう」ことより、岸川さんに私の裸を見られることの方が、とっても恥ずかしかったので、私はできるだけ、浴槽の中で小さく、縮こまることに専念した。
< 412 / 483 >

この作品をシェア

pagetop