恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「・・・壮介さんはもう、お風呂に入ったりお水を飲んだり、だけじゃなくて、嬉しいとか幸せだと思ったりすることも、もうないんだなって思ったらちょっと・・・罪悪感、みたいなものが・・・」
「そうだなぁ。確かに、旦那さんはもう、そういう経験を積むことも行動することもない。嬉しいとか幸せって思うこともないだろう。でも同時に、悲しさや怒りを感じることも、もうないんだ。肉体が死んだら、もう何も感じずに済む。痛みも苦しみも、何もない。“死”はそういうことだと俺は思うよ」

・・・喜怒哀楽、感情も言葉も、行動も、何もない。それが、「死」。
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