恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「旦那さんに対して罪悪感を持たなくていい。どうせ思うなら“安らかに眠れ”と思った方が旦那さんも喜ぶんじゃないか?って、旦那さんはもう何もないってさっき言ったばっかで矛盾したこと言っちまったけど」
「分かります。岸川さんが言いたいこと」

壮介さんが「喜ぶ」ことは、壮介さんの供養につながる。そんな風に私は思った。

それから私たちは10分ほど入浴をした。
お互いに話すことはなかった。
会話をする時間は終わったんだ、今、私たちの間に、言葉はいらない。
無言の空間が、とても心地いいから。
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