恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
私はもちろん、バージンではない。
結婚だってしている(それとも「して“いた”」?)し。
ただ、私は壮介さんという主人だった人としか、経験したことがないし、回数も乏しく。
夫婦としての義務を果たさなければという一心で、壮介さんに応えていたものの、楽しむ余裕なんて全然なかった。
私にとって「セックス」とは、苦痛でしかなく、とても・・・苦手な行為。
その領域に関してかなり奥手な私は、子持ちだけど「セカンドバージン」の体、だと自覚している。

でも、相手が違うだけで、ここまで―――実際にコトを行ってはいないのに―――なんていうか、まるで岸川さんに心のバージンを捧げたような、そんな感じがする。
肉体的な過去の行為とは違って、今の私の心は全然痛くない。
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