恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
私たちのそばに、影ができた。
大きな岸川さんが、翔と私、一緒に抱きしめる。まるで私たちを護る、大きな樹みたい―――。

「おかえり」
「・・・ただいま」

岸川さんと私は、顔を見合わせてニッコリ微笑んだ。

「どう?」
「うん・・一段落はついたけど、また長野に戻らないと」
「いつ戻る予定?」
「まだ決めてないけど・・4・5日したら戻ろうとは思ってます。岸川さんは?お仕事どうですか?私がいなくて大丈夫?」
「カオスの一歩手前。土井さんの功績がまだ残ってるからな」
「そうですか」と私が言ったのと、「かおすってなに?」と、翔が聞いたのは同時だった。
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