恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
一方、緊張少し、ドキドキがいっぱいで心が乱れている私とは対照的に、岸川さんはいつものように涼しい表情をしたまま、私の腰に左手をあてて、スマートに「エスコート」をしてくれている。

「湖都ちゃんには今日から少しずつ、そして明日からは本格的に俺ん所で事務の仕事をしてもらうから、その前に湖都ちゃんの仕事場となる事務所内を案内しようと思ってさ」
「なるほど」

・・・やっぱり岸川さん、今日は「執事」になりきってるのかしら・・・ちょっと待って!そもそも執事はこういうエスコートの仕方、しないわよね?
あぁもう・・・どうでもいい!

いろいろ考えてもどうにもならないと分かった私は、観念してその場の流れに心身ともに任せることにした。
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