恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
私が長野に行ってる間、翔のお世話は、葬儀の後、翔と一緒に東京に戻った母に託していた。
助けてくれたのは母だけじゃない。
みのり園(翔が通っている保育園)の方々を始め、母の家の近所の方々、そして岸川さんも、父親を突然亡くした幼い翔に、優しく手を差し伸べ、支えてくれた。

岸川さんは、私のことを見放すどころか、翔のことも大切にしてくれている。
それがとても嬉しかったと同時に、この・・愛や幸せを、本当に私が得てもいいのか・・そもそも私に得る資格があるのかという想いが、私の脳裏にちょっとだけ、よぎってしまった。

いけない!今ある幸福を信じられなくなるのは、私の悪い癖の一つだ。
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