恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
私の思考が一瞬、止まった。
心臓が、ゆっくりと、鈍く、ドクン・・とゆっくり波打った気がした。
まさか・・・。
世の中に、「岸川」という名字の人はたくさんいるはず・・・。
それに、お母さんが言った「岸川さん」が、男の人だとは限らないでしょ?
あの人じゃない、絶対。
10年前に一度だけ会ったあの人じゃ・・・。
「だ、誰なの?その人」
「建築家よ。“白樺”の内装を頼んで以来のおつき合いで、うちの常連さんの一人。なんでも事務をしてくれてる人がね、旦那さんの転勤で九州の方に行くことになっちゃったらしくて」
「そぅ」
平静を装いながら、私の心はかなりといっていいくらい、落ち着きを失くしていた。
心臓が、ゆっくりと、鈍く、ドクン・・とゆっくり波打った気がした。
まさか・・・。
世の中に、「岸川」という名字の人はたくさんいるはず・・・。
それに、お母さんが言った「岸川さん」が、男の人だとは限らないでしょ?
あの人じゃない、絶対。
10年前に一度だけ会ったあの人じゃ・・・。
「だ、誰なの?その人」
「建築家よ。“白樺”の内装を頼んで以来のおつき合いで、うちの常連さんの一人。なんでも事務をしてくれてる人がね、旦那さんの転勤で九州の方に行くことになっちゃったらしくて」
「そぅ」
平静を装いながら、私の心はかなりといっていいくらい、落ち着きを失くしていた。