恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
あの人が建築家かどうかまで、私は覚えていない。
あの人の職業を聞いたのか、それすら覚えてない。
「あら。湖都は岸川さんに会ったことなかったかしら」
「ないよ」
なんせ10年前のことだ。あの人は私のことなんて忘れてるだろう。
あの人は、学生だった私よりも年上の社会人だったから、きっと「あのこと」なんてそれほど重大な出来事だとは思ってないはず・・・。
「そう・・まぁたぶん明日会えるから」
「え?明日、会えるって」
「岸川さん、ほぼ毎日“白樺”に来てくれるのよ。来る時間は決まってないんだけどね。うちの常連さんの一人ってさっき言ったでしょ?」
「あ・・・そう」
「明日岸川さんが来たときに、まだ事務員さんを探してるかどうか聞いてみるわ」と言った母がソファから立ち上がった。
あの人の職業を聞いたのか、それすら覚えてない。
「あら。湖都は岸川さんに会ったことなかったかしら」
「ないよ」
なんせ10年前のことだ。あの人は私のことなんて忘れてるだろう。
あの人は、学生だった私よりも年上の社会人だったから、きっと「あのこと」なんてそれほど重大な出来事だとは思ってないはず・・・。
「そう・・まぁたぶん明日会えるから」
「え?明日、会えるって」
「岸川さん、ほぼ毎日“白樺”に来てくれるのよ。来る時間は決まってないんだけどね。うちの常連さんの一人ってさっき言ったでしょ?」
「あ・・・そう」
「明日岸川さんが来たときに、まだ事務員さんを探してるかどうか聞いてみるわ」と言った母がソファから立ち上がった。