恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
「名字です」
「あ、そう。どんな字書くの?」
「水と木、ってえっと・・曜日の水・木。で、分かりますか」
「うん。分かる。簡単でいいよなぁ。書きやすいし」
「そうですね。あの・・あなたは」
「俺?」

私に聞くその人の横髪が、ちょっと首をかしげたことで同じ方向に揺れた。

よく見るとこの人、髪を切ったばかりの私よりも、髪、長い。耳・・隠れてるし。まぁ、ほんのちょっと長いんじゃない?って程度だけど。

正直、髪を伸ばしている男の人は苦手だ。生理的に受け付けないというか・・・。
「男の人は坊主か短髪」と思い込んでる私の男性像に、この人は当てはまってない。

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