恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
・・・でも。こんなことになってしまったのは、岸川さんのせいじゃない。
全部私のせい。私が全部悪いんだ。

「・・・っ・・・」

私は、食いしばっていた歯の間から、ハァハァという荒い息を吐きつつ、両手を膝についた。

・・・疲れた・・・。
私にしては長距離を全力疾走したから・・・。ちょっとだけ、休憩しよ・・・。

信じられないのは岸川さんではなく、私自身の方だった。
岸川さんは私よりも、分別のある大人。
だから私は、岸川さんを責めるつもりは全然なかった。

責めるんだったら、岸川さんじゃなくて、私自身を責めるべきだ。

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