初恋はチョコの味





「パティシエか…
いいね!」


「あ、あの…先生、コレ。」


赤い包装紙で包んだ箱を
先生に渡した。



「え、俺に?」



今日のために
父から教わった
直伝のレシピで
トリュフチョコを作ってきた。



「はい、今までの
ありがとうを込めて

先生のために
トリュフチョコを
作ってきました。」



「手作り?すげーな(笑)
俺、チョコ大好きなんだよ。
ありがとな。」


先生は嬉しそうに
そう言って
私の頭をポンポンした。



「いえいえ、
喜んでもらえて
嬉しいです…。」


頭をポンポンされ、
先生の笑顔をみたら

涙がこみ上げてきた。



「もしかして、
最後だから悲しい?」


「悲しい…です」


先生は

泣いている私を

なだめるように

頭をポンポンしながら

「あのさ、実は、俺も、
今日で卒業なんだよ、ここ。」

と、言った。

 



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