初恋はチョコの味


「え?」


「4月から高校で
理科の先生になるんだ。」


先生の言葉をきいて、
涙が引いていった。


「え、そうだったんですか?
知らなかった…。
おめでとうございます。」




「ありがとう。
まあ、塾じゃ、
数学の担当だったから
理科の先生って
意外だったろ?(笑)」



「はい、意外でした。」



「数学担当してるけど、
俺は、数学より理科が好きでさ。

で、俺の夢は
理科の先生だったから。」
      


「じゃあ、
夢が叶ったんですね。」



「叶ったよ。

ちなみに
どこの高校かというと

それは、
今日の新聞に
出てるから家で見てみ?」



「は、はい」



「あ、新聞みて、
どこの高校かわかったら

これ、ね。」


と、言って

電話をかける
ジェスチャーを
私にしてみせた。



「わかりました。」




「じゃあ、
そろそろ時間だし、
最後の見送り
させてもらおうかな。」


と言って
先生は一緒に

教室を出て、
玄関口まで来てくれた。





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