初恋はチョコの味





先生と私の授業の様子を

たまたま教室の窓から
見ていた塾長先生が、

ある日の授業の時に、
声をかけてきた。


「ちょっと、後藤先生ー?」


いつもは明るく陽気な
塾長先生の声とは違う

少し低い声で
教室の廊下から

後藤先生を呼んだ。



「え、あ、はい?」

先生は誰かに呼ばれたのか
わからない様子で
廊下の方を振り向いて返事をした。



「あ、塾長先生でしたか。
何でしょうか?」


「後藤くんね、
まりなちゃんと、
距離が近すぎるよ?(笑)」


「え?いや、そうですかね?」


先生は無意識だったの?!

やたら距離近すぎるなって

私も塾長先生と同じこと思ってたよ。




「廊下から見てたら、
まるでカップルみたいな
距離感だったからね?(笑)」


カップルみたい?
わ、私と、先生が!?

ん?いやいや。
距離感の話しだよね。
ちょっと残念。

カップルに見えたって
言われた方が
私は嬉しかったのになあ。



「教えるのが熱心なのは良いけど、
距離感はちゃんと考えてね。」

「あ、すみません…。」

「じゃあ、授業邪魔してごめんね。
おじさんは消えまーす(笑)」


塾長先生は
別の教室を見るために去っていった。


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