君は心を開かない
プロローグ✴︎転校生
私は目覚まし時計の音で目を覚ます。
「花凛ー!学校遅刻するよー!今日始業式でしょ?」
お母さんは私の耳元で叫ぶ。鼓膜破れちゃうじゃない。
「わかってるよー〜〜もう起きてるから。」
母の叫び声で目を覚まし、朝食を食べ、眠気を抱えながら学校へ向かう。休みが終わってしまうことへの憂鬱をかかえて。
この日はいつも通りだった。毎年同じはずの始業式の日。
あの子に出会うまでは。
私は今、長い長い校長先生の話を聞いている。
こいつの話、本当にオチがない。
長い欠伸をすると、隣の明里が意地の悪い笑みを浮かべる。
「花凛って、欠伸するとき、マヌケ顔よねー(笑)。」
私は煩いと言わんばかりに、明里を肘で小突いた。
こんなやり取りも日常茶飯事だったんだけど。
「えー、では、皆さんに転校生を紹介します。どうぞ、壇上に上がって。」
転校生。
ただでさえ、みんなの注目を浴びる存在。
だけど、その子は、必要以上の注目を浴びていた。
なぜなら。
「なんで、あの子、紙とペン、もってるの?」
彼女はテレビ番組でよくみるカンペに使うような、スケッチブックらしきノートを持っている。
彼女は無表情。
「なんか、かわいいね。」
明里があっけにとられたように囁く。
長い黒髪。大きな二重の瞳。すらっと伸びた手足。白い肌。
彼女は、全国の女子が羨ましがり、嫉妬するほど美しかった。
まるで童話の世界から飛び出したように。
ざわつく体育館。みんなが壇上の転校生に釘付けだ。
そんな中、彼女は不思議な行動を始めた。
彼女はスケッチブックを手に取り、ペンで何かを書く。
そしてそれをこちらに向けた。
「見えないよ。あれ。」
明里の言う通り、いくら目が良くても、遠すぎて、あの文字は読めない。
すると、私のクラスの担任、森野が、彼女の隣に立った。
そして、こう言った。
「えー、私の名前は朝比奈 舞です。私は1年4組に転校します。宜しくお願いします。と書かれています。皆さん、仲良くしてあげてください。」
みんなの不審がる視線を浴びながら、舞と森野が壇上から降りる。
「は?なにあれ。もしかして、あの子、話せないの?」
明里が怪訝な口調で言う。
ざわめきはしばらく治らなかった。
「しかもうちらのクラスに転校してくるんじゃん。めんどくさ。」
明里が吐き捨てるように言う。
耳が聞こえないのか。私は深くため息をつく。
それが舞と私の出会いだ。
「花凛ー!学校遅刻するよー!今日始業式でしょ?」
お母さんは私の耳元で叫ぶ。鼓膜破れちゃうじゃない。
「わかってるよー〜〜もう起きてるから。」
母の叫び声で目を覚まし、朝食を食べ、眠気を抱えながら学校へ向かう。休みが終わってしまうことへの憂鬱をかかえて。
この日はいつも通りだった。毎年同じはずの始業式の日。
あの子に出会うまでは。
私は今、長い長い校長先生の話を聞いている。
こいつの話、本当にオチがない。
長い欠伸をすると、隣の明里が意地の悪い笑みを浮かべる。
「花凛って、欠伸するとき、マヌケ顔よねー(笑)。」
私は煩いと言わんばかりに、明里を肘で小突いた。
こんなやり取りも日常茶飯事だったんだけど。
「えー、では、皆さんに転校生を紹介します。どうぞ、壇上に上がって。」
転校生。
ただでさえ、みんなの注目を浴びる存在。
だけど、その子は、必要以上の注目を浴びていた。
なぜなら。
「なんで、あの子、紙とペン、もってるの?」
彼女はテレビ番組でよくみるカンペに使うような、スケッチブックらしきノートを持っている。
彼女は無表情。
「なんか、かわいいね。」
明里があっけにとられたように囁く。
長い黒髪。大きな二重の瞳。すらっと伸びた手足。白い肌。
彼女は、全国の女子が羨ましがり、嫉妬するほど美しかった。
まるで童話の世界から飛び出したように。
ざわつく体育館。みんなが壇上の転校生に釘付けだ。
そんな中、彼女は不思議な行動を始めた。
彼女はスケッチブックを手に取り、ペンで何かを書く。
そしてそれをこちらに向けた。
「見えないよ。あれ。」
明里の言う通り、いくら目が良くても、遠すぎて、あの文字は読めない。
すると、私のクラスの担任、森野が、彼女の隣に立った。
そして、こう言った。
「えー、私の名前は朝比奈 舞です。私は1年4組に転校します。宜しくお願いします。と書かれています。皆さん、仲良くしてあげてください。」
みんなの不審がる視線を浴びながら、舞と森野が壇上から降りる。
「は?なにあれ。もしかして、あの子、話せないの?」
明里が怪訝な口調で言う。
ざわめきはしばらく治らなかった。
「しかもうちらのクラスに転校してくるんじゃん。めんどくさ。」
明里が吐き捨てるように言う。
耳が聞こえないのか。私は深くため息をつく。
それが舞と私の出会いだ。
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