浮気してるくせに平然な彼






 目を真っ赤にさせて、ビックリした様子で俺を見た。やっぱり橋本だった。


「この間、ここでナンパされたの忘れた?」


 ゆっくり隣に座り、口を開くのを待っていると、『…………私を見放さないの?』不安そうに聞いてくる橋本に胸がザワついた。



 確かに俺は“陸を選んだら容赦なく見放す”って話したけど……俺は、橋本が陸の所に戻ったなんて思ってなかったから。そんな質問されるなんて思っていなかった。



「陸くんと別れるのは無理だから。もう見放してくれてイイよ………」


 完全に諦めている橋本。陸と何があったのか聞きたいけど、沈みまくってる橋本に聞けるワケもなく。ひたすら橋本が落ち着くのをただただ、待つ。




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