浮気してるくせに平然な彼





 また上に乗って来られたら冗談でも笑えない。


 制服のシワをパンパンと伸ばす俺。
 サナは煮え切らない様子で、


「人生奪ったモン勝ちじゃない!!堀内も、どんな手を使ってでも美羽を奪えばイイじゃない!!」


懲りずに自分勝手な意見を押し付けてきた。


「だからお前は浮気しちゃうワケか」


 サナを味方につけなきゃいけないのに。
 何で俺は責める事ができないんだろう。何で、サナの話を聞いて、情に流されちゃってんの。


 自分自身が歯がゆくて、グッと奥歯を噛みしめる。



「例え俺が橋本を奪っても、オマエは陸の一番にはなれねぇわ。誰もオマエを1番にしたいなんて思わない」


 サナが怒る事は分かってはいるハズなのに、自分の感情を止められない。


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