浮気してるくせに平然な彼
9.変わる気持ち
“久しぶり”なんて、のんきに挨拶する気にもなれなくて変わらず冷たい視線を向けていると、麗美がゆっくりと口を開いた。
「…………翔くん、仲直りしたい」
一言、『ゴメン』と謝罪もできない麗美に言葉を失う。
それと同時に分かった事が一つあった。
昔の俺もなかなか他人に“ごめん”を言えなかったかもしれない。
目の前にいる人物は自分の鏡だと、何かの本で読んだことがある。
だとしたら麗美は俺自身の鏡だ。
麗美が浮気してしまった理由は確かに俺も悪い。
ーーだけど、そうじゃない。
その時の自分が、他人を引き寄せる。
なり下がれば下がるだけ、そういうヤツが寄ってくる。