浮気してるくせに平然な彼
タイミングを見計らったように、安達が『翔ー、学校まで乗っけてこうか??』と家を訪ねてくれた。
俺の荷物の量を見た安達は目を丸くしている。
「え、なにその荷物……なんか多くない?」
「……今日から修学旅行だけど寝坊した」
「え、修学旅行って……おばさんは!?」
「パートに行ったみたいで、朝起きた時にはいなかった」
「え、小遣いはもらったん!?」
「貰い忘れた……でも毎月貰ってた分を使い切ってたワケじゃないし。足りるくらいは残してたから」
俺の心配をしきりにしてくる安達に大丈夫だからと、車を出すようお願いする。
助手席に乗り込むと、『旅行行きのバスってまだ学校いるの?』とまた不安そうに聞いてきた。
「いや。いないから自分で学校近くの駅から出る空港行きのバスに乗って来いって言われた。大丈夫、学校からあと一人のヤツと一緒に行くから」
「空港までって。一時間以上かかんじゃん!金めっさかかるじゃん!自腹!?旅行費から出ないの!?」
「寝坊してんだし自腹。言って片道2000円くらいだろ。大丈夫だって、金あるから」
「いや!!心配!!あと一人の子も乗っけてくから!!」
正直バスだったら箇所箇所で止まるし時間もかかるし、下手したら搭乗時間に間に合わないかもしれない。
「悪い。お願い」
今回は素直に安達の好意に甘える。