浮気してるくせに平然な彼







 強張った顔で私を見る陸くん。
もう、陸くんの機嫌を伺いながら過ごすなんて、できない。


「ごめん、陸くん。私、陸くんと付き合えない」


 震える声でサナとも一緒にいたいと言ってくれた陸くんに、私も震える声で別れ話を切り出した。


「は………なんで??美羽、俺に抱かれたかったんだろ!?抱いてイイって、あの時、そう言ったろ!?」


 確かに私は、トイレで陸くんと話した際に、部屋に来てもイイと言った。


 でも『抱いて欲しい』なんて言ってない。


 石田くん達が言ってくれたように、陸くんの理性をグチャグチャにしたかっただけだ。


 『美羽、こっち来て』と、腕を引かれるがままに、陸くんが座っているベッドへと移動し横へと座る。


 …………堀内くん。サナ達と見てるよね。
 助けてくれるよね………


 震える拳をギュッと握りしめ、陸くんに顔を向ける。


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