ごめんね、リリィ。
その一言に思わずうっ!と息を呑む。
確かにその通り。
私、香田 リリィは救いようのないクズなのだ。
人の不幸は蜜の味といったような少々捻くれたところがある。
もし仮に他人からこのような話を聞いたとしたら一生この話題でその人間を馬鹿にするだろう。
やめろと言われてもからかい続ける自身がある。
ぐうの音も出ないといった顔で茜を見つめているとガラリと教室の扉が開かれた。
「おーい席つけ〜」
担任が名簿を片手に教室に入ってくる様子を視線で追う。
私の視線に気付いた担任は、ビクッと肩を揺らし作り笑いを浮かべた。
「お、今日はちゃんと来たんだな」
視線に含まれる軽蔑、嘲笑い。
その言葉を他人事のように聞き流す。
『お腹痛いんで帰ります』
下を向いてスクバを肩に掛けた。