白と黒の魔女
~バルト城~
「王様、第二王子が到着されました。」
「うむ。通せ」
「かしこまりました。」
王子の到着を知らせる鐘と共に第二王子が入場した。
「父上、母上、ご機嫌麗しゅうございます、久しぶりにお会いでき、嬉しく思います。」
王様は嬉しそうに
「久しいな、ヴァルヘルム。
そういえばこんなことを聞いたぞ、そちには、好きな人がいると」
ビックリした様子に王妃様も、
「あら、そうなの?ヴァルヘルム?」
王子は焦りながら
「いえ、好きな人などおりませぬ」
「そうか、おらぬのか。だかそちはまだ若いから普通は色恋はあるものなのだが、、、」
「父上、私は魔女に興味があるのです。」
王様はビックリした顔をした。
「魔女?魔女とはどの魔女だ?」
「ご存知ではありませんか?
気高き魔女の噂を、、」
「それは、何なのだ?ミヌドリア大臣?」
「陛下、、ご存知ないのですか?」
「知らぬ。何か問題でもあるのか?」
「いえ、そんなことは」
民も、この国の貴族でさえも気高き魔女を知っているのになぜ知らないのか、とこの場にいる皆は不思議におもった。
「では、説明いたしましょう。
気高き魔女はセイティアの森に住み顔を出すことはほとんどありませんが、女神のように美しく、それはもう綺麗という言葉では足りないくらいに神々しい、という噂です。
ですが、セイティアの森に入り悪さをしたものは帰ることはないと、、。」
「何!?帰らぬ民がいるのか?」
「ええ、ですがその民の大半は犯罪を犯したものばかりです。」
「だが、帰らぬのだろう?」
この時、王様は気高き魔女をあまり知らないので、民のことに目がいってしまい、気高き魔女を信じてはいなかった。
「はい、、」
「ならば、兵を送ろう魔導師もな。」
王子は焦りながら
「お待ちください!父上!
魔女は、魔導師が恐れる存在ですよ!?
魔女に無礼を働くなど言語道断です。」
「だが、民は帰ってこぬのだ。王として許してはおけぬ。」
「ならば私も行きます!」
「ヴァルヘルム!いい加減にせよ、」
「恐れながら陛下、ヴァルヘルム様は魔女に詳しいのです。ここはヴァルヘルム様にも行ってもらいましょう。」
「帰ってこなければどうする!」
「ヴァルヘルム様は、悪いかたではございません。それに王子の中でもとてもお優しく慎ましい方。悪いようにはされませぬ。」
「父上!必ず戻ります!どうかお許しを!」
王様は仕方なく許し、ヴァルヘルム王子に兵を渡し気高き魔女セルティアの森に向かわせた。