ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
「そう呼んで」と満足げな笑みを浮かべた彼は、私の唇を塞いで、舌を絡め取った。

キスをしながら器用に自分の服を脱ぎ、私のジャケットも脱がして床に落とす。

色気を醸す唇と巧みな手つきで私の気持ちを高ぶらせつつも、なぜかベリーダンスの衣装は一向に脱がせようとしない。

焦れったい気持ちにさせられた私が、自分で脱ごうとウエストの留め具に手をかけたら、大きな手に阻止された。


「良樹?」

「駄目。まだ脱がないで。最初はこのまま。その方が雰囲気が出るだろ?」


雰囲気とは、異国的という意味だろうか……。

下着だけを脱がされて、彼が私の中に侵入してくる。

快感がリズミカルに打ち寄せて、スカートの飾りのコインがダンスを踊った時のようにシャラシャラと音を立てた。

頭の中はふわふわと、まるで絨毯に乗って空を飛んでいるような夢心地になる。


これぞ、アラビアンナイト……。

魔法にかけられたかのように素直に恋に落ちた私は、身も心も全てを彼にゆだね、甘くとろけそうな旅の夜に浸っていた。



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