ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
「厄介な問題が発生してねーー」と彼が聞かせてくれたのは、こんな話。
今、事業部では、新しいプロジェクトが進行中らしい。
それは水不足に苦しむとある発展途上国に、遠くの水源から地下にパイプを通して、水を引いてこようという大掛かりなもの。
慈善事業ではないため、収益も上げねばならないが、なにせあちらは資金がない。
かける経費は最小限に。それでいて確かな技術と製品を提供するために考え抜いて、あらゆる手を尽くした計画なのだそうだ。
プロジェクトはまだ紙面の段階だが、現地の地質調査などは終えていて、来年には工事に着手する予定であった。
しかし順調に進んでいるはずのプロジェクトが暗礁に乗り上げたと、今日の夕方、社長である良樹のもとに知らせが入った。
特殊なネジの製造を依頼した会社に、仕事を引き受けてもらえなかったというのだ。
私に抱きつきながら話す良樹は、深いため息をついた。あたかも深刻そうに。
しかしながら、私はそれがやつれるほどの一大事である意味を理解できず、「他のネジ会社に頼めば?」と軽く言ってしまう。
良樹は無言で私を放すと、ダイニングテーブルの端の椅子にどっかりと腰を下ろし、肘をついた右手で額を押さえている。
怒らせたかと気にする私は、隣の席に座り、横からその顔を覗き込んだ。
すると私の頭を撫で、体をこちらに向けてくれたので、どうやら私の発言で不機嫌になったわけではないようだ。
今、事業部では、新しいプロジェクトが進行中らしい。
それは水不足に苦しむとある発展途上国に、遠くの水源から地下にパイプを通して、水を引いてこようという大掛かりなもの。
慈善事業ではないため、収益も上げねばならないが、なにせあちらは資金がない。
かける経費は最小限に。それでいて確かな技術と製品を提供するために考え抜いて、あらゆる手を尽くした計画なのだそうだ。
プロジェクトはまだ紙面の段階だが、現地の地質調査などは終えていて、来年には工事に着手する予定であった。
しかし順調に進んでいるはずのプロジェクトが暗礁に乗り上げたと、今日の夕方、社長である良樹のもとに知らせが入った。
特殊なネジの製造を依頼した会社に、仕事を引き受けてもらえなかったというのだ。
私に抱きつきながら話す良樹は、深いため息をついた。あたかも深刻そうに。
しかしながら、私はそれがやつれるほどの一大事である意味を理解できず、「他のネジ会社に頼めば?」と軽く言ってしまう。
良樹は無言で私を放すと、ダイニングテーブルの端の椅子にどっかりと腰を下ろし、肘をついた右手で額を押さえている。
怒らせたかと気にする私は、隣の席に座り、横からその顔を覗き込んだ。
すると私の頭を撫で、体をこちらに向けてくれたので、どうやら私の発言で不機嫌になったわけではないようだ。