ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
彼女は微かに顔をしかめ、首もわずかに傾げてなにかを考えている様子。
けれども「なんでもございません。失礼いたしました」と答えて一礼し、部屋を出ていった。
パタンと閉められたドアに、電子錠が施錠される音がする。
難しい顔をしていた津出さんは、なにかを訝しんでいるような表情にも見えたけど、なんだったのだろう……。
そのことに少々の引っかかりを感じたが、すごく気になるというほどのことではなく、すぐに意識を天井のライトに戻した。
紺色チェックのベストに同色のタイトスカートという、内勤の女子社員全員と同じ制服を着ている私。
スカートであることを少しも気にすることなく、脚立を二段目まで上がったら、あれ?と目を瞬かせた。
ソケットに電球がなく、すでに取り外されているのだ。
どうして……?
交換しに来いと連絡しておきながら、自分で先に外す意味がわからない。
そう思っていたら、突然後ろから二本のスーツの腕が体に回され、抱きしめられた。
「へっ!?」と間抜けた声をあげて、これは誰の腕かと考えさせられたが、この部屋にいる私以外の人物は社長しかいないのだ。彼に違いない。
背中の中央辺りには、社長が頬ずりしているような感触が伝わってくる。
目を丸くして驚き、「あの……」と問いかけたら、「夕羽ちゃん、まだわからないの?俺だよ。会いたかった」と吐息交じりのしみじみとした返事をされた。
けれども「なんでもございません。失礼いたしました」と答えて一礼し、部屋を出ていった。
パタンと閉められたドアに、電子錠が施錠される音がする。
難しい顔をしていた津出さんは、なにかを訝しんでいるような表情にも見えたけど、なんだったのだろう……。
そのことに少々の引っかかりを感じたが、すごく気になるというほどのことではなく、すぐに意識を天井のライトに戻した。
紺色チェックのベストに同色のタイトスカートという、内勤の女子社員全員と同じ制服を着ている私。
スカートであることを少しも気にすることなく、脚立を二段目まで上がったら、あれ?と目を瞬かせた。
ソケットに電球がなく、すでに取り外されているのだ。
どうして……?
交換しに来いと連絡しておきながら、自分で先に外す意味がわからない。
そう思っていたら、突然後ろから二本のスーツの腕が体に回され、抱きしめられた。
「へっ!?」と間抜けた声をあげて、これは誰の腕かと考えさせられたが、この部屋にいる私以外の人物は社長しかいないのだ。彼に違いない。
背中の中央辺りには、社長が頬ずりしているような感触が伝わってくる。
目を丸くして驚き、「あの……」と問いかけたら、「夕羽ちゃん、まだわからないの?俺だよ。会いたかった」と吐息交じりのしみじみとした返事をされた。