ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
館内も宮殿のような豪華さで、玄関ホールの吹き抜けの天井はドーム型。

天窓からは明るい日差しが降り注ぎ、白大理石の床が輝いている。

二階へと続く幅の広い階段には赤絨毯が敷かれ、壁には絵画や彫刻が飾られて美術館のようにも見えた。


彼にエスコートされる私が、最初に連れていかれたのは、ウェイティングルームと英語で書かれた玄関ホールに近い部屋だ。

会場は一階の大ホールを使用するらしいけど、開始まであと二十分ほどあるので、早めに到着した招待客はここで待つみたい。

良樹も客と同じ行動でいいのかと問えば、「俺は主役だけど、主催者じゃないからね」と笑顔と説明を返される。


「準備は両親に任せてるから、開始までどこにいようと自由だ。今日は夕羽ちゃんと一緒だし、俺もこの部屋で待つことにするよ」


主催者は良樹の両親だと聞かされ、緊張を新たにする私がウェイティングルームに入ったら、「すごい……」と今日何度目かの同じ感想を呟いた。


学校の体育館ほどもありそうな空間に、豪華なソファセットがいくつも並び、美しい裏庭の見える開口の広い窓際には、カウンターテーブルと椅子が連なる。

パソコンブースや軽食コーナーがあり、天井からはシャンデリアがぶら下がっている。

そこに華やかな装いの女性や、スーツ姿の男性が大勢いて、あちこちで小集団を作り、交流に勤しんでいた。
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