ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
ヘラヘラと笑いながらそう言って、話を終わらせようとしたら、今まで挨拶程度の会話しかしたことのない営業部の若い男性社員に「今度、飲みに行きませんか?」と誘われた。
「浜野さんの話は面白いです。ゆっくりと聞かせてもらいたいので、ぜひ!」
これ以上のよっしーとの思い出エピソードは難しいが、五木様の話なら何時間でも熱く語ってあげられる。
「演歌の話でもいいならーー」と、その誘いを受けようとした時、人垣の後ろに「皆さん、楽しそうですね」と聞き慣れた声がした。
「社長!?」と誰かが驚きの声をあげると、私に向けられていた視線が一斉によっしーに移り、私と彼の間に道が開けた。
聞かれてまずい話をしたわけではないけれど、話題にしていた人物が急に現れたら、焦るものだ。
彼は一見して微笑んでいるようだけど、眼鏡の奥の瞳は不満げにも見える。
その胸の内が読みきれずに少々緊張しながら、私は椅子から立ち上がって会釈する。
「社長、なにかご用でしょうか?」と末端社員として丁寧な口調で事務的に問いかければ、彼が家にいる時のような気軽な口調で答えた。
「うん。三十分時間が空いたから、夕羽ちゃんをランチに誘おうと思って。いい?」
「浜野さんの話は面白いです。ゆっくりと聞かせてもらいたいので、ぜひ!」
これ以上のよっしーとの思い出エピソードは難しいが、五木様の話なら何時間でも熱く語ってあげられる。
「演歌の話でもいいならーー」と、その誘いを受けようとした時、人垣の後ろに「皆さん、楽しそうですね」と聞き慣れた声がした。
「社長!?」と誰かが驚きの声をあげると、私に向けられていた視線が一斉によっしーに移り、私と彼の間に道が開けた。
聞かれてまずい話をしたわけではないけれど、話題にしていた人物が急に現れたら、焦るものだ。
彼は一見して微笑んでいるようだけど、眼鏡の奥の瞳は不満げにも見える。
その胸の内が読みきれずに少々緊張しながら、私は椅子から立ち上がって会釈する。
「社長、なにかご用でしょうか?」と末端社員として丁寧な口調で事務的に問いかければ、彼が家にいる時のような気軽な口調で答えた。
「うん。三十分時間が空いたから、夕羽ちゃんをランチに誘おうと思って。いい?」