【短】好きになる人を間違えた場合。
***
「伶奈。伶奈って、」
「……何?」
それからの私は、不自然なくらいに廉を避けてしまっていた。
だって、無理だもん。
いつも通り一緒になんかいたら、忘れたくても忘れられない。
神様、どうかこいつを好きになる前の私に戻してください。
そんなくだらないことを願ってみたり。
だって、完全に好きになる人を間違えたよ、私。
「お前さ、なん────」
「廉太郎〜。今日の放課後どこ行く?」
こんな、女タラシを好きになったって辛いだけ。