光とともに
アパートの部屋に戻ると、

部屋の中があたたかい空気に包まれてている。


ああ、きっと、気持ちがウキウキしているから、部屋の空気があたたかく感じるんだろうな♪


引越ししてきたばかりの散らかった部屋を鼻唄まじりで片付けた。


本と本の間から、一枚の写真が出てきた。


写真にうつっている人がわかると、さっと、急いで隠してしまった。


憧れていたひと。
尊敬していたひと。


いや・・・


ちがう、


好きだったひと。


クールで、


真冬の星空が似合うようなひとだった。


わたしが17歳のときの秋。
高校二年生。


そのひとは、教育実習生として、やってきた。
教科は数学。


見た瞬間、あたりの空気がとまったかと思った。


夜空のようなひとだ。
真冬の星空のような、澄みきった空気をもったひとだ。


わたしは、一瞬でそのひとに魅了された。


「教育実習生の沢村聖一です。これから一ヶ月間、お世話になります。よろしくお願いします。」


トントン


わたしの背中をかるくたたくリエ。


「ねぇ、ちょっと、いいよね、沢村先生。」


「う、うん。」


わたしはドキドキしていた。
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