溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
蔵人さんは怪訝そうだけど、私は最高に気分がよかった。

――さらに。


夕ごはんが終わると蔵人さんがコーヒーを淹れてくれる。

コーヒーを飲みながらふたり並んでテレビを見るのがなぜか日課だ。

でも今日は、コーヒーカップをリビングのテーブルの上に置くと、冷蔵庫に入れておいた例の箱とお皿とフォークも一緒に持ってきた。

「どれが好きなのかわからなかったから」

開けた箱の中にはなぜか、ケーキが三つも入っている。

「和奏が好きなのをふたつ、食べたらいい」

「えっ、いいんですか?」

「ああ。
弁当の礼だ」

蔵人さんがくいっと眼鏡をあげる。
眼鏡をあげるのは照れているのだと気づいたのは最近だ。
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