溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
なんか、そういうところが可愛いとかいうと、やっぱり怒られちゃうかな。

「あの、でも、先に蔵人さんが好きなのを選んでください。
私は残ったのでいいんで」

「俺は和奏が選べと言っている」

じっと眼鏡の奥から蔵人さんが見つめてくる。

――いつもそうだ。

蔵人さんは私に決断を迫る。
流されやすくてひとりで決められない私に。

「じゃ、じゃあ。
これと、これ、で」

「ん」

蔵人さんが私の指さした苺のタルトとモンブランをお皿に載せてくれる。
残ったチョコレートケーキは別のお皿に載せると、蔵人さんは自分の前に置いた。

「蔵人さん。
その、ありがとうございます」
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