溺愛ラブ・マリッジ～冷徹上司が豹変しました～

ちょっとだけ蔵人さんの肩にあたまを預けてみた。

「どうかしたのか」

くいっ、蔵人さんが眼鏡をあげる。

「……なんとなく」

なんだか私はビールは飲んでないのに、酔ってるみたいに顔が火照った。

蔵人さんの、私の側の手が、そっと背後に回る。
こわごわふれたその手は、ゆっくりと私のあたまを撫でた。

「蔵人さん？」

「ん？」

私を見下ろす蔵人さんの、眼鏡の奥の目は眩しそうに細くなってる。
それに口元は僅かに緩んでいた。

どきどきとうるさい心臓の音が蔵人さんに聞こえないか心配になってくる。
それでも私は蔵人さんにもう少しだけ、身体を寄せた。


「おやすみ、和奏」