溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「ここは会社だと我慢するのに必死だった。
一緒の職場にいると我慢できそうになくて先に帰した」

我慢って一体なにを我慢していたんだろう。
ますます訳のわからない私の頬を蔵人さんが両手でそっと挟む。

「悪い、もう無理だ」

別れようと言われるんだろうか、そんな私の気持ちとは裏腹に蔵人さんの顔が近づいてくる。
唇にふれた柔らかいものが一瞬、なんだかわからなかった。
そろそろと視線をあげると、レンズの奥の目は眩しそうに細くなっている。

「好きだ、和奏」

目を細めて笑う蔵人さんの手が、ゆっくりと私の髪を撫でる。

「……私も蔵人さんが、好き」

再び近づいてくる顔に、今度は素直に目を閉じた。
そっと舐められた唇に、蔵人さんを受け入れる。

「……ん……ふ」

唇が角度を変える度、自分の口から漏れる甘い吐息に驚いた。
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