溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
私が定時を一時間ほど回って帰るときでも、蔵人さんは戻ってこなかった。


「ただいま」

「おかえりなさい」

私が帰ってきてさらに二時間ほどたって蔵人さんは帰ってきた。

「わかなー」

「はいっ!?」

お弁当箱を受け取ってキッチンに行こうとすると、いきなり後ろからぎゅーっと抱き締められた。
思わずお弁当箱を落としそうになって、慌てて掴み直す。

「……蔵人さん?」

「んー?」

私の髪の中に鼻を突っ込むようにして、蔵人さんは離れる気配がない。
いや、こんなことをされるのならお風呂すませててよかった。

――とかいう問題ではなく。
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