溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
つい先週、蔵人さんは高熱を出した。

きっと、疲れが限界を超えてたんだと思う。
夏のビール商戦に加えて新規契約の準備。

連日、朝早くから出勤して帰ってくるのは夜遅かった。
疲れが溜まって倒れたっておかしくない。

なのに高熱を出した蔵人さんはそれでも、会社に行こうとしたのだ。

「寝てないとダメです」

「いま休んでられないの、わかるだろ」

じろりと睨まれたが、負けずに睨み返した。
そりゃ、休めないのはわかる。
でもこれで無理してなにかあったらどうするの?

「薬飲めばなんとかなる」

止めるのを聞かずにベッドから出た蔵人さんがよろつく。
慌てて支えたけど、振り払われてなにかがぷつんと切れた。

「自分さえよければいいと思ってるんですか!
少しは私のことも考えてください!
蔵人さんになにかあったら私、どうしたらいいんですか!」
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