溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
まだなにか言ってる三木谷さんを無視して電話を切った。
蔵人さんはいまも小雪と一緒で、それが意味するところがわからないほど私だってうぶじゃない。

もう待っていても無駄だと知りながらも、それでもソファーの隅で膝を抱えて蔵人さんの帰りを待った。

「まさか、寝ないで待ってたのか」

驚いた声に顔をあげると、蔵人さんは帰ってきていた。
カーテンを引いてない窓の外はもう、白みはじめている。

「なんで待ってた?」

責めるように冷たい声の蔵人さんからは小雪の臭い。
さっきまで一緒にいたという証拠。

やっぱり蔵人さんはいまでも小雪が好きなんだ。
それに、抱けない私より抱ける小雪の方がいいに決まってる。

俯いて黙っている私に蔵人さんは小さくはぁっとため息をついた。

「いいから寝ろ。
まだ少し眠れる」

いつもなら髪を撫でられるのは嬉しいのに、今日はただ悲しかった。
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