溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「そんな予定があるならなぜ早く言わない?」

言えば君嶋課長がどうしていたのか気になるところだが、いまの問題はそこではない。

「別に旅行に行くわけではないです。
その、ちょっと事情があって」

曖昧に笑って答えると、はぁーっとどうしてだか君嶋課長の口から大きなため息が落ちた。

「少し話をしないか。
朝食でも食べながら」

「その、あの、……はい」

私の手を掴んだまま、君嶋課長は歩き出した。



連れてこられたのは近くの、モーニングもやっている喫茶店だった。

「Aセット、ふたつ」

席に座るなり、君嶋課長はメニューも見ずに注文した。
もしかして、常連なんだろうか。
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