溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「いえ、彼の浮気現場を目撃して、それで耐えられなくなって出てきました……」

あの日のことはいまでもはっきり思い出せる。

家に帰ってドアを開けたとたん、聞こえてきたのは女の喘ぎ声。
玄関で硬直していると、ソファーでヤってた洋と目があった。
速攻でそのまま家を出る。
しばらく時間を潰して帰ると、すでに飲んでいた洋に罵倒された。

洋に罵倒されるのはいつものことだ。
手を挙げないだけましだと思ってた。

でもその日は違った。

きっと私はもう、疲れ切っていたんだと思う。
働かないで家で好き勝手やってる、洋との生活に。

洋が酔いつぶれていびきをかきだすと、音を立てないようにキャリーバッグに荷物を詰めて家を出た。

それが、二週間前の話だ。

「二週間もそんな暮らしをしてたのか」

君嶋課長は驚いているが仕方ない。
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