溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
「……知らないです。
昨日、私が処理し忘れました。
申し訳ありませんでした」

私が深々とあたまを下げると、若干身を乗り出していた君嶋課長は椅子に座り直した。

「わかった、もういい。
次からは気をつけるように」

「本当に申し訳ありませんでした」

やっと諦めてくれた君嶋課長にもう一度、あたまを下げる。

「久保」

回れ右をしてその場を去りかけたら、背中に君嶋課長から声をかけられた。
仕方なく振り返ると、両肘を机について指を組み、君嶋課長が私を見ていた。

「君はそれでいいのか」

無表情にじっと私を見つめる、レンズの奥の瞳は私の心の奥底まで覗いているようで居心地が悪い。

「……意味がわかりません」
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