溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
君嶋課長が少しでも本音で話しやすいようにしてくれてるのは理解してる。
けど、そういう優しさは私を弱くするからやめて欲しい。

「わかった」

目の前が暗くなったかと思ったら、君嶋課長の手が私のあたまをぽんぽんしていた。

「俺は先に戻るから、君は後かたづけをしてきてくれ」

くいっと覆うように眼鏡をあげると、君嶋課長は会議室を出ていった。
ひとりになったとたん、涙がぽろぽろこぼれ落ちてくる。

「なんですか、それ……」

私が泣きやすいように、ひとりにしてくれたんだと気づいた。
片づけなんて椅子を戻して電気を切るくらいしかない。

あの表情筋が死んでる課長は、冷酷なのか優しいのか、私にはいまいち理解ができない。



営業部に戻ると一応、石川さんのところに行った。

「金曜日はすみませんでした」
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