輝く星をキミにあげる

秘密




同居してから数ヶ月が経った。



まだ誰にもバレることなく



喧嘩もなく続いている。



何か変わったことといえば



あまり考えない夕食のこととか



お弁当のこととか考えるようになった。




「また見てんの?飽きないね〜」




渚は呆れたような顔で




レシピの本を眺めてる私を見る。



「…まあね。一人暮らしだからこそなにか挑戦してみたいじゃん」



なんて私はわざと"一人暮らし"を強調させる。



昴の好きな食べ物とかを考えてると



不思議な感覚になる。




…結婚したらこうなるのかな、、とか。



私は1人で考え勝手に顔が赤くなる。



…ほんと恥ずかしい



「かーいーちょう!なに赤くなってるんすか」



能天気に走ってきたのは



同級生の新 優雅(あらた ゆうが)。



ヤンチャで明るくて人懐っこいけど



成績優秀な男の子で、



生徒会副会長だったりする。



「な、なんでもないよ。…ていうか今日の放課後集まりあるんだからね。さっきカラオケの約束とか聞こえたけど」




私が優雅を睨みつけると、焦ったように




あれは来週だよとか嘘をつく。



まあ、サボるのはいつものことだから叱るまでもない。




「でも会長こそ最近帰るの早くない?なんかあるの?」





優雅のその言葉に一瞬心臓が止まったような気がした。




「…あ、もしかして彼氏?」



意地悪な顔で優雅は私を見る。



無意識に顔が赤くなってしまうのがわかる。




「…そ、そんなわけないでしょ。からかわないで」



私は勢いよく本をしまい、次の時間の教科書を出す





「…ふーん。まあ、歩花が彼氏できるわけないか」



少しだけ険しい顔をし、そう言った。



「ちょっ、それどういう意味⁉︎」



いつも会長って呼んでくるから



名前で呼ばれてドキッとしたのを隠すようにそう言う。




「さーね!んじゃまた放課後」



可愛い笑顔を私に向け、教室から出て行った。



こういう時、




ふと、優雅を好きになればよかったかなって



なんとなく思ってしまう。




「…はぁ」



一つため息をつき、机に顔を伏せた。
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