五十夜美咲事件帳 No.000【男スポ作品】
・現場検証
なんということでしょう!
ここのお店のジェノベーゼパスタは最高だったのに!!
そりゃぁもぅ月に3、4回は確実に通ってたんですよ?
それなのにこんなことになるなんて!
「ショックだと思いませんか! 五十夜さん!!」
「はぁ、まぁ、そうですねぇ。ところでちょっとそこをよけてもらえませんか?」
「あぁ、すみません」
「いえいえ」
「そりゃぁですね? 殺されちゃったここのオーナー兼シェフの片桐一夫(かたぎりかずお)って男のことは前々から実は嫌いだったですよ?」
「ほう、どうしてですか? あ、すみません、そこもちょっとよけてもらえます?」
「あ、すみません」
「いえいえ」
「それがですね。片桐って男、客の中に若い女性がいると何かとホールに出てきては自分はどこどこで修行してきたんだ、とかこのワインは誰々が愛飲していてだとか、そういう自慢話とかうんちくたれながしては女性を口説いてたんですよ!」
「ほぅ……」
「まぁ今回は“事故”だったみたいですけど、あれはそうとう女性を泣かせてるタイプですね! どのみちいずれは──」
「警察がそんなめったことをいうもんじゃないですよ、りおさん」
「あ!? す、すみません」
「いえいえ……よっと」
「どうですか?」
「ん~。まぁぱっとみたかぎりはやはり“事故”のようですねぇ」
周囲をゆっくりと眺め回しながら首筋をぽりぽり、と掻くこの男性は五十夜美咲(いそやみさき)警部補。
ぼさり、と伸びた髪と黒ぶち眼鏡の奥にある常に眠たげな瞳、のんびりとした口調はどこか頼りない感じはするけれど正真正銘“山中市市古(やまなかしいちご)警察署捜査二課”きっての若きエース。
そしてわたしは二課のアイドル(自称)こと、浅田莉緒(あさだりお)。
ちなみに髪はショートボブで、頬にかかる髪を内側に軽く巻き気味にしてます。
今回はなんとわたしの馴染みのイタリア料理店“トラットリア・ボーノ”で事件が起こりました。
といっても、どうやら事故のようですけど。
「さて、りおさん。念のためにもう一度改めて本件の状況を説明してもらえますか?」
「はい」
ここのお店のジェノベーゼパスタは最高だったのに!!
そりゃぁもぅ月に3、4回は確実に通ってたんですよ?
それなのにこんなことになるなんて!
「ショックだと思いませんか! 五十夜さん!!」
「はぁ、まぁ、そうですねぇ。ところでちょっとそこをよけてもらえませんか?」
「あぁ、すみません」
「いえいえ」
「そりゃぁですね? 殺されちゃったここのオーナー兼シェフの片桐一夫(かたぎりかずお)って男のことは前々から実は嫌いだったですよ?」
「ほう、どうしてですか? あ、すみません、そこもちょっとよけてもらえます?」
「あ、すみません」
「いえいえ」
「それがですね。片桐って男、客の中に若い女性がいると何かとホールに出てきては自分はどこどこで修行してきたんだ、とかこのワインは誰々が愛飲していてだとか、そういう自慢話とかうんちくたれながしては女性を口説いてたんですよ!」
「ほぅ……」
「まぁ今回は“事故”だったみたいですけど、あれはそうとう女性を泣かせてるタイプですね! どのみちいずれは──」
「警察がそんなめったことをいうもんじゃないですよ、りおさん」
「あ!? す、すみません」
「いえいえ……よっと」
「どうですか?」
「ん~。まぁぱっとみたかぎりはやはり“事故”のようですねぇ」
周囲をゆっくりと眺め回しながら首筋をぽりぽり、と掻くこの男性は五十夜美咲(いそやみさき)警部補。
ぼさり、と伸びた髪と黒ぶち眼鏡の奥にある常に眠たげな瞳、のんびりとした口調はどこか頼りない感じはするけれど正真正銘“山中市市古(やまなかしいちご)警察署捜査二課”きっての若きエース。
そしてわたしは二課のアイドル(自称)こと、浅田莉緒(あさだりお)。
ちなみに髪はショートボブで、頬にかかる髪を内側に軽く巻き気味にしてます。
今回はなんとわたしの馴染みのイタリア料理店“トラットリア・ボーノ”で事件が起こりました。
といっても、どうやら事故のようですけど。
「さて、りおさん。念のためにもう一度改めて本件の状況を説明してもらえますか?」
「はい」