僕の彼女はかわいい
僕の手を引いて新山さんが早歩きをする。

「ごめんね孝太郎くん、わたしのせいであんなこと言われちゃって」

少し震えた声で言う。

勢いよく僕の手を引いて前を歩く彼女の顔はよく見えないけれど、きっと涙目なんだろう。


「大丈夫だよ。僕気にしてないから。ありがとう」


僕がそう言うと彼女は安心したようにまたゆっくりと歩き始めた。

同時に離れた右手が少し寂しい。

そんなことを思っていると新山さんが近くのベンチに座った。
目が合って、隣に座るように僕に合図をした。


僕がベンチに座ると彼女は僕の肩に頭をおいた。

「わたし、孝太郎くんのこと大好きだから」

ああ。僕もう死んでもいいや。

そう思ったのは彼女には秘密。
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