僕の彼女はかわいい
放課後、いつもなら校門で新山さんを待つところだけれど、もうそんなことしちゃだめだよね。

僕の顔なんて見たくないはずだ。


新山さんに会う前に早く帰らないと。


そう思った僕は急いで学校を出た。


こんなに胸が痛いのなんてきっと明日になれば忘れてる。夢だったんだって思える。だから早く彼女の顔を見てしまう前に。

…帰らないと。


「…っ!孝太郎くん!!」


大好きな人の声が僕の足を止める。

振り返ることができない。今顔を見たら気持ちがあふれてしまう。新山さんの邪魔になってしまう。


「どうしたの?今日何か急がないといけないことでもあるの?」

声だけで彼女の表情がわかる。きっと不安な顔をしているんだろう。

どうして?僕のこと嫌いになったんでしょ?気持ち悪いんでしょ?


「…別に…何もないよ」

僕は彼女のほうを向いて言った。

僕は今どんな顔をしてるのだろう。今にも泣きだしそうな情けない顔だろうか。


「…孝太郎くん?なにかあった?」


僕の顔を見て大きい目をさらに大きくした新山さん。だけどすぐに不安そうな顔に戻った。

< 7 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop