【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
掴まれた肩と反対の肩が胸元の温もりに触れて、はっと目を見開く。
「写真、お願いします」
落ちてくる、涼やかながらも甘さを含んだこの声。
反射的に顔をあげれば、
「明希ちゃん……」
そんな声が、思いがけずこぼれた。
映画館のわずかな照明に輝く金糸の彼──それは明希ちゃんだった。
……明希ちゃんが、どうしてここに?
突然のイケメンの登場に、背後の待機列がざわついてる様子が耳に届く。
この状況を把握することができず、呆然と彼を見上げていると、明希ちゃんが顎を下げて私に甘すぎる笑みを向けた。
「写真、撮ろ」
「え……」
明希ちゃんが腕を引き、私をボードの前へ連れていく。
ひとりの来館じゃないことに安堵したのか、スタッフの人は満面の笑みを浮かべてカメラのレンズ越しに私たちを見つめた。
「じゃあカップルさーん、撮りますよー!
はい、チーズ」
思考が追いついていかないまま、シャッターのフラッシュが瞬き、写真が撮り終わる。